センター化


都立の学校がセンター化されたのは、5年ほど前だ。師走という忙しい年末に「次の年度の予算を出さなくてはいけない、締め切りは1月7日です」というような話になった。実質検討する時間はゼロ。それでも予算が貰えなければ仕事にならないから、みんな必死で出した。

センター化というのは、東京都○○学校経営支援センターという下に都立高校が配属される。学校の事務職員も異動し、事務室(後に経営企画室と名称変更)の定員を6名から3名に変更という無茶なことが行われた。各学校が予算をセンターに提出し、センターで一括購入する、というのである。そのため、学校現場での予算提出を早める必要があったのだ。

5月の歓送迎会でセンターに異動させられた事務職員が挨拶で、「支援センターというからには学校を支援しなくてはいけないんですが...」と言ったら、みんな大爆笑となった。センター職員は管轄の学校全部の予算を処理しなくてはいけないし、学校は学校で少ない職員でやりくりしなくてはならないから、双方大変なのだ。

結局、センターで処理しきれなくなり、この時は一部(全部?)センターでの一括購入はなくなり、それに伴って、各学校では予算の出し直しをした。日程的に余裕ができたので、急いで検討した予算をもう一度検討し直したのだ。

教員としては、この予算くらいのものでセンター化されても実害はなかった。ところが、あるときのことである。ハローワークのジョブサポーターが「就職のしおり(?)」のような冊子をもっていた。発行は東京都労働局。1月に就職先が決まった生徒のために「就職説明会」を開く予定でいたので、この冊子は格好の資料になりそうだった。労働局に電話して50部ほど貰えないか、と頼んだ。返事は「各学校で要望されたら部数がないから相談してから。」というもの。2、3日して電話がかかってきた。「交換便で送る」とのこと。私は難色を示した。しかし、予定は三週間以上先の話で相手の「それのどこがいけない」と言わんばかりの事務的な口調、こちらが郵送料を出すわけでもなく、無料で貰う、という立場上、了承するしかなかった。

懸念したことが現実になった。説明会の二日前でも届かないのである。イライラして経営企画室で聞いてみたり、進路室を探したり...。校長に聞きに行った。それによると、交換便は、労働局⇒東京都全体⇒支援センター⇒学校用務主事⇒経営企画室⇒私、という流れになるらしい。支援センター名をきちんと書かず、○○高校だけでは区分けされず、時間がかかっているのでは?とのことだった。そもそも用務主事さんがセンターに荷物を受け取りにいくのも週に1回(2回?)というもので、もう時間切れだった。念のため、労働局に電話してみたら、荷物は12月中に出した、とのことで、まだ届いていないことを不審そうにしていたが、「済みませんねぇ」と一応謝っていた。

この冊子は説明会が終わった翌日か翌々日に届いた。仕方ないから該当生徒名を記して、担任を通じて、生徒に配った。その後、就職して職場でとらぶった生徒が私のところに相談に来た。会社を辞めたときはどうするか、ハローワークはどこにあるか、退職金は...。ほらね、冊子にみんな書いてあるんだけど、ただ渡すだけでは読まないんだよね。

その翌年、この冊子の発行所は○○区になって、何の連絡もなくダイレクトに、部数にして2学年分以上送られてきた。こんなにたくさんどうするんだ?。どうでも生徒に配ればよさそうなものだが、そうすると読まずに捨ててしまい、勿体ないということもあるが、ゴミの散乱という問題も出てくるのだ。結局、毎年少しずつ配って、いつまでも進路室にあり、邪魔なんだけど、捨てるには勿体ないし、困りましたね。

そうそう、この支援センターから指導主事だか参事だか来て、話をきく、というのがあった。話を聞いたあとどうするの?でいつもどうもしてくれないだけなので、そういう時間を割くだけ損と思ってしまう。またまた忙しいのに面接をしなくちゃならないのだ。 副校長がそれを伝えに来たとき、「ああ、妨害センターですか?」と言ったら「座布団一枚!」と言われました。

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