管理職
管理職とはいえ主に校長について書こうと思う。大半の校長は校長室にいるか、教育委員会に呼ばれてでかけるか、で一般の教員と顔を合わせるのは、今でも会議と校長面接のときぐらいだ。昔はもっと校長室に閉じこもっていることが多かった。
教員生活3年目だろうか。修学旅行を4クラスずつ二班にわけ、一日ずれて出発していた。担任団で案を練るのだが、校長・教頭も引率についていく。そこでどちらの班にどちらの管理職をつけるかが、問題になり、押し付け合いになった。するとある教師が、「校長が働かないから、みんな嫌なわけで働かせればいいんじゃないですか?」と言った。それで、夜の寝ずの番も校長に割り振った。
さて、当時ちょうど主任制度化という問題が出てきて、教員組織としては対抗するために現行の主任は辞任だの、情報の共有だの、仕事の均等化だのいろいろあった。それで校長のところに修学旅行の案をもっていくのもみんなで交替で、となって、私がもっていった。校長室のドアをノックしても返事がない。お昼寝の最中でした。ま、とにかく目を覚ましてもらって紙を渡したのですが、怒ったのなんの、わりとヘビースモーカーでタバコを吸っていたのですが、あまりに怒ってタバコをもつ手が震えていた。この校長は遠足に行ったとき、タバコの箱のセロファンをはずすとくるくる巻いて近くの茂みにどんと放っていた。「校長先生、だめですよ」と注意したらびっくりしていたが、あれがいつものことだったのでしょう。教員最初の校長というのは教員になる前のイメージとはずいぶんかけ離れていた。
職場にPCが導入されてからのこと。副校長はA4サイズくらいの箱に3.5インチの黒いFDをいっぱい入れていた。しかもFDにシールも貼っていない。保存してもファイルがとりだせませんよね。たまたま校長室へ行く用事があって、PCの話題になり、校長に「副校長もFDでなく、Dドライブにでも保存すればいいんですよ」と言ったら、「おれもそうだよ」と引出しをガラッとあけたら、まったく同じにFDがつっこんであった。私は絶句した。しかし校長はノーテンキに意に介していなかった。
本当にひどい管理職もいた。あまりにひどくていろいろエピソードがあった校長が異動して平教員もホッとした。ところが新しい校長はまたまた大変。教員はみんな嫌っていた。ある教員が「いや~、今の校長は一つだけいいことをしたよ。」というので、「何をしたの?」と聞いたら、「前の校長が偉くみえるよ。」‐‐職員会議であまりにでたらめで嘘を言うので、いちいち訂正し、会議が紛糾して、そのうち「あんたに何を話したって通じないんだから、こんな会議意味がない」と教員がいなくなって誰もいなくなった。最後に残った人があとで言うには「なんでみんながいなくなったか、あの人、わかってなかったよ」(^^; こういう校長の下につく教頭というのは大変で「あの人のせいで僕のくびがとびそうだ」と言ってましたね。(現実にその教頭は定年前に退職しました。校長のせいではなく個人的理由だ、とそれとなく匂わせていましたが...)
それでも立派な人ももちろんいるんですよ。教員生活最後の校長はとてもいい方でした。きちんと状況を把握し、ねぎらいの言葉もきちんとかける。こちらは、この校長を困らせたくない、こんなことすると校長が可哀そうだ、と思うんですよ。だから理不尽な都教委の通達も反抗しないでやってあげちゃうみたいな。それがこの人の近代的管理方法という手なのかな、と思ったりしたけれど、自然体でそういう人なんですね。嫌だ嫌だと思いながら、ここまで勤められたのはこの校長のおかげだ、と思います。