英語研修


何とかアクションプランという研修があったよなぁ、と検索したらまだファイルが残っていた。これ。文部科学省の提唱で、①都道府県教育委員会が、②英語科全教員対象に、③2003年から2007年までに、集中訓練をしろ、というわけです。このページにはいろいろもっともらしいことが書いてある。でも書かれていることで実施したのは「英語教師の集中訓練」だけじゃないのかな?

私の場合、2004年に参加したと思う。一週間。A4サイズで「英語の授業で工夫していること、工夫したいこと」「生徒の書く力を伸ばすにはどうしたらよいか」のレポートを英語で一枚提出することとなっていた。(このレポートはただ持ち歩いていた。研修が終わるので、Ericにきいたら、お互いに配布しなさい、とのこと。苦しんで何日もかかって書いた人には気の毒だった。私はネットから適当に文をとってつないだから、“立派な”英文が簡単にできたけど。)

都教委はどこかの業者に丸投げした。私たち一クラス分の教員にEricというガーナ人が一人ついた。Ericは米語とは多少違う感じだけれど英語を話した。Ericは「次はこうするんだよね?」と尋ねるんだけど、私たちは研修だから来いとただ言われているだけで、何をするんだかはわからなかった。

教科書の一ページみたいなのを渡されて、英語で模擬授業。まあ、これはうまくいった、相手は教員だから「わかりません」という答が無いしね。要するに一回は教師役、他は生徒役をしたわけです。

そのうち、グループディスカッションになり、議題が「生徒の話す力をつけるには」とか「生徒の書く力をつけるには」で、私たちからすると現実離れも甚だしいので...文科省とは違うので机上の空論を戦わす気もなく、沈滞ムード。授業中立ち歩きする生徒をいかに着席させるか、携帯をいじってばかりいる生徒をどう指導するか、教材を持って来ない生徒をどうするか、こういう類の議題なら話すこともわんさかあるんですがね。アルファベットもおぼつかないのに話す力と言ってもねぇ。ため息ばかり漏れていた。Ericも困ったらしい。前に出て発表というとき、「私が英語で授業をしたら、生徒は暴動を起こすだろう」と英語で言い、あとは日本語で話した人もいた。(文科省のサイトでは教師は授業中できるだけ英語で話すこと、とある)

最後は、Presentation、「外国人に日本の観光地を勧めるという設定で、ポイントを3つあげ、説明せよ」これは面白かった。そのあと、中学の先生たちとの交流だったが、共通点をあまり見つけられず、ただ自分のことを話すだけで終わったように思う。

英語教師の英会話力をあげたければ、外国人講師(AETまたはALTと称している)を教師にも割り当てたらいいのにと思う。会話の中身も大上段に振りかぶって教育論ではなく、雑談でいい。雑談の中に生徒のことや授業のことも自然に含まれて教育論になると思う。そう思うのは私の体験からきている。昼休みになると、よく雑談したものだ。毛玉取り器なんて単語を知らないから、「毛玉をとる道具」などと英語で言って、それでも速く話を進めたいからすごいスピードで話したものだ。今、あの時の会話力が自分にあるかというと疑問だ。

AETには生徒の授業でなければ給料をくれない。しかも東京都の場合、単価を切り下げ、OCの授業のみ一クラスあたり年間7時間の配当、昔は年間18時間というときもあったのに。まともなAETは撤退、「自分のところでやった方がよい」とのこと。上記文科省のサイトではALTの活用とも書いてあり、週一時間は全生徒にとある。現実は逆行している、やれやれ。

この集中訓練は、大して意味がないにしろ身銭をきったわけではないから、まだいい。教員免許更新制ほどひどいものはない。「教員の資質向上のため」? どこが? 30時間、一時間1000円で3万円身銭を切らせて、大学の授業の二番煎じみたいなことをさせて、どういうつもりだ、全く。本当に問題教員がいるとしても、こんなことで変わるわけがない。あとは締め付けとイエスマンの養成ですか?

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