情報アドバイザー


2000年当時の森首相がIT革命(間違えてIC革命などと言っていた?)をとなえ、パソコン売場でmacを「これはテレビなの?」と質問したり、「パソコンが出来ない人は日陰」呼ばわりしたり。その流れの中で都立高校にも「情報アドバイザー」というものが派遣されるようになったのは2003年頃だと思う。国の公共事業・失業者対策という話で、情報アドバイザーは生徒を教えるのはだめで職員を教える役割を担っていた。

都立高校が上からのお達しで「HPを作れ」という命令があったのはほとんど同時期だった。情報という科目が実施される前だから特に、そんなことを言われても管理職は困るわけである。渡りに船とばかりアドバイザーにHP作りをやってもらった学校が多かったようである。

私の勤務していた学校ではその前年からHPはあった。私が作ったから。その私もHPはわかるけれど、Excelは、関数はほとんど知らず、入力できる程度だった。教員は基本的に授業に出かけるし、一日2時間程度の空き時間は教材作りや課題の処理など雑務に追われるから必ずしもPCを使うわけではない。従って、情報アドバイザーに質問する人もなく、手持ち無沙汰に職員室にいることが多かった。そんなふうに2,3日過ごしていたかと思う。そのうち成績処理の時期がやってきた。

A先生「ちょっとExcelを教えてほしいんですけど」、アドバイザー「わかりますかどうか」といかにも自信無げ。質問内容は点数に従って段階にわけるもの。アドバイザー全然駄目で双方困惑している。近くにいた私は「これでよかったら、あるけど。」私はネットで調べてそれだけは関数を入れていたのだ。

仲良しのB先生(教務主任)に「あの人、Excelわからないみたいよ」と言ったら、「駄目じゃない!」。教務部は入試も担当するし、その時期はExcelを多分に使うので、頼りにならないアドバイザーでは困るのだ。B先生「教頭に言いなさいよ!」、私「私が?」、B先生「そうよ!!」お分かりでしょうが、告げ口するのは誰だって嫌ですよね。

仕方ないから、教頭に言いに行った。すると又、災難が待ち受けていた。困った顔をした教頭は「アドバイザーをテストしろ」と言ったのだ。「私が?」「そうだ!」「嫌です!できません!」この教頭はPCに触れもしない人で、HPを作っているというだけで「情報」の教科書見本を私の机上においておく人だ。

暫くしてC先生がやってきて、ニヤニヤしながら、「人に仕事をふるなよな」と言う。教頭は今度そちらに出向いたらしい。結局三人で考えるような形になって教頭が「アドバイザーの履歴書に『Excel基礎』とある」と言う。「私たちだって研修したわけでもないし、検定を受けたわけでもないから、レベルはわかりませんよ。」と私。C先生「じゃExcel初級とか中級の人、としたらどうですか?」でけりがついた。

その後、アドバイザーは病気とやらで欠席した挙句、教頭が派遣会社に言うまでもなく自分から辞めていったらしい。後任のアドバイザーは大丈夫だった。その人の話によればPCに触れたこともない人が一週間の講習を受けて派遣会社に登録している場合もある、とのことだった。

後日、職員室にたった6台しかないPCが混み合っていくら待っても使えないので、「教頭用」とマジックで書かれてあるPCを使った。教頭がアドバイザーに与えていたものである。印刷されないなぁ、と「印刷ジョブ」を確認したら、「アドバイザー通信」が19個ひっかけたままにしてあった(^^;;

この公共事業は5年後?廃止になった。

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