授業評価


この授業評価というのは、いつからか、と調べたら平成16年度からだそうです。だからもう6年間実施したんですね。DCIという会社のHPに肯定的な記事が載っていましたが、まあ否定したら、会社がもうかりませんからね。

私は労力に比べて効果はどうか、と考えると意味がないと思いますね。ぶっちゃけた話、私自身はそこから生徒の声に耳を貸そうとは一度も思いませんでした。年3回、6クラス分くらいの集計が大変で、最後は朝1時間目にねらってアンケートをとりました。そうすると生徒が遅刻してくるので、8~10人くらいの集計で済むから(^^;

質問項目は20個。評価は毎回ほとんど変わりませんでした。4段階評価でしたが、すべての質問項目に1をつける生徒、逆に全てに4をつける生徒、1~4を順繰りに繰り返す生徒、がいましたね。真面目に質問項目を読んでいる生徒もいますが、でたらめな生徒もかなりいました。彼らの気持ちになって一言で言えば“面倒くさい”。2と3の中間に○がついていたりして集計しようもないものもあります。普段の授業を真面目に聞いている、いわゆる「良い生徒」でもアンケートを渡されると「また、これ?」と嫌がっていました。答えるのにせいぜい5分しかかからないんですがね。

傾向として言えば、教師の教え方より教科の好き嫌いで評価しているようでした。英語なんて嫌いですからね。数学はもっと嫌いです。好きなのは体育。それが結果に出てきていました。

「授業の進み具合が速いかどうか」の質問があるんですが、授業中も「速い!」と苦情が出るんです。多少は待ってあげますよ。でもね、20分も遅刻してきて、5分は友達と話して、さあノートに写そう、という状態で、待ってあげないと悪態をつくんです。こういう生徒が過半数を占めます。

生徒が自分のことについて「予習・復習をしているか」「教科書等準備しているか」などの質問項目もあるんですが、答は嘘だらけ。いや意図的に自分のことをよく評価しているわけじゃないんです。その教科が嫌いで悪く評価しようと思っていると自分の態度のところも悪い評価になっているんです。質問を読んでいないのかもしれないですね。

さて、これを集計(やはりExcelに計算式を入れて作りました)、そのあと、教科毎に会議をもって集計結果について討議し、まとめをファイルにしておくことになっている。他の教科は知りませんが、英語科は私が適当にもっともらしく分析したことにして入力しておしまい。

集計は業者に頼む学校もあったと思う。いくらかかるのかな?マークシート読み取り機は200万円という話もきいたことがある。こんなことをやりたければ、都教委が器械を買って一括して集計すればいいじゃないの、と思ったりしたけど。

授業評価というのは、やはり、生徒の側に教わりたいという意欲があって、それに教師がどれだけ応えてくれたか、というのでなければ意味をなさないと思う。教わりたいという意欲が皆無で、「席に座っていてもらう」だけでも想像もつかないほど教師のエネルギーを使う学校では、授業をきいていないのだから評価なんかできないわけだ。

因みにある進学校の先生に聞いたら、授業評価の日を2日設けて、その2日間は生徒はひたすらアンケートに答えるのだという。2日間も勿体ない話だと思った。私の勤務した学校でそれをやったら?多分大半の生徒は欠席でしょうね。

自己弁護すると私は決して不真面目な教師ではなかったと思うし、仕事をさぼって遊んでいたわけではない。だが、こういう風に手抜きしなければやっていけなくなってしまった。仕事が多すぎてこなせないので、結局体裁だけ整えるという状況になったのだ。

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